それでも愛してる

病なんかぽぽいのぽい 音楽聴いて穏やかに生きていこ  毎日が冒険の日々ー

 

旅人や吟遊詩人なんて今更ながらでも
彼らは唄って街に灯りを灯す。
彼もそうだけど
水も飲まずに錠剤をがりがり噛んで、ふいっとこっちを見ると
にこっと笑って
「もうすぐ飲まなくても大丈夫になるから」
って、また彼は微笑む。
あたしも微笑む。

彼の心臓の終焉を迎えた時
もう冷たくなった唇にくちづけをしたけど
何もかも、もう遅くて
そっと
「約束した夢、来世で叶えようね」
って言ってみた。
お互い、当り前だけど会話は無かった。
できなかった。

あれからどれくらい経つ?
今年は桜もあっというまに散っちゃってさ
『また春に会いましょう』
なんて、はにかんで笑うキミが凛々としてて
下を向いてるあたしのおでこにデコピンしてまた笑った。
そんな愛空想喜劇を演じてみた。
空は快晴
一面真っ青で突き抜けるのような青空
煌々と照らし上げ、跳ね返るアスファルトさえも粉砕しそうな空

最後の彼は透き通る季節の中
砕け散る硝子のような笑顔を見せて
言った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さあ往こう
旅人は夜に鳴く


                    2014 4/10
                     なる子