それでも愛してる

病なんかぽぽいのぽい 音楽聴いて穏やかに生きていこ  毎日が冒険の日々ー

愛涙の叔父様の憂い

 

拾われる。

 

 

 

「お嬢ちゃん、何でこんな時間に鹿児島に?」

『たばこ 吸っていいですか』

「おう。吸え吸え(笑)やけど似合わねえなあ」

『窓 開けていいですか』

「いいぞ?まだ寒いけんが大丈夫か?」

 

ガーッという音と共に大きなガラスが下った。

 

「荷物もねえしよー。乗せてはやったが面倒かけんなよ(笑)」

『おじさん 煙草吸わないんですか』

少し間があっておじさんは口を開いた。

 

「吸わねえ」

『珍しいですね』

「母ちゃんが肺がんで死んでな。母ちゃんて嫁な(笑)」

『ご愁傷様です』

「冷めた嬢ちゃんやな!」

 

 

トレーラーは夜風を吹き払いながら南と進む。

 

 

『愛してましたか』

「おうよ」

『最後の言葉は』

「あると思うか?」

 

外を見た。

見た事がないコンビニが目に入った。

二本目の煙草に火を付けた。

 

「こんなん言ってもしょーがねえが、」

夜の街頭が瞬時に行き過ぎる。

「苦しそうでな、手を握るしかなくてなあ、ぐははは」

 

高速の入口が見えた。

 

「嬢ちゃん、感情ねえのかよ、ふははは」

 

ETCを抜け、風を呻りながら走りゆくトレーラー。

 

『おじさん』

「お?話すか?」

 

50歳過ぎのおっさんは

女子に目をやった。

 

声を出さず

ただ、女子は

もう止まらないのではないかと思うほどの涙の海の中であった。

 

 

『お嫁さんのこと』

「おう」

 

しぼりだすような声で言いましたとさ。

 

 

 

 

『それでも愛しるんだね』

 

 

 

 

 

「おう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人、泣きじゃくる朝日の空気は

結愛色の逃避行の上を

 

 

愛で駆け抜ける